②スキンケア

1、保湿剤

ヘパリン類似物質入りの保湿剤(先発品は青、ジェネリックは緑)

   写真左
   左からクリームの「ヒルドイドクリーム」、軟膏の「ヘパリン類似物質油性クリーム」=「ヒルドイド軟膏」
   クリームの方がべたつかないが、軟膏の方が保湿効果は上。

   写真中央
   左から液状の「ヘパリン類似物質外用スプレー(100ml)」=「ヘパリン類似物質ローション(50ml)」
   乳液タイプの「ヒルドイドローション」、泡状の「ヒルドイドフォーム」

尿素入りの保湿剤

   写真右
   上から「パスタロンクリーム10%」(尿素10%)、下は「アセチロールクリーム」(尿素20%)
   塗り心地はさっぱりしています。尿素濃度が高いほど多少刺激があります。
   角質が厚いときにも使用します。

その他、ワセリン(白色ワセリン、プロペトなど)もあります。
保湿剤と混ぜて使うこともあります。

以上から、季節、乾燥の程度、患者さんの希望などで選んでいます。


外用回数は1日2回、そのうち1回は入浴直後が望ましい。成人であれば全身に外用すれば1回で10~15gは必要、これが1日2回で20~30g、週に5回外用すれば、少なく見積もっても1週間に100gは必要。ヒルドイドソフト軟膏のカップ1個、チューブなら4本に相当。正常に見える部分も全体に外用してください。

プロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎では炎症が軽快して一見正常に見える皮膚も、組織学的には炎症細胞が残存し、外的あるいは内因的な要因により再び炎症を引き起こしやすい状態にあることが多い。

再燃を繰り返す皮疹に対して、ステロイド外用剤やタクロリムス軟膏により速やかに炎症を軽減し寛解導入した後に、保湿外用薬によるスキンケアに加えて、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を定期的に(週2回など)塗布し、寛解状態を維持する治療法である。

週に5日間は保湿剤を塗って、週に2回は ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏 を塗ることによってい状態が維持できるよ~ってことです。週に5日間保湿剤を塗れば、100gを使う計算になります。必要な分は処方します。
これはすごく大事だから覚えておいてください


2,入浴・シャワーと洗浄

皮脂汚れに加え、外用剤・体液の付着や黄色ブドウ球菌などの感染性病原体の定着がみられ、皮膚症状の悪化要因となりうる。つまり、清潔にしよう!

1)温度:38-40℃がよい。入浴後、発汗や体のほてりが収まったら、すぐ保湿剤を塗る。低めの温度で入浴

2)石鹸・洗浄剤:長期間入浴時に接見を使用しない患者群より、洗浄を行った群の方が症状は改善した。

しかし、乾燥が強い場合、季節、石鹸。・洗浄剤による刺激が強い場合は、石鹸の使用は最小限にする。よく泡立てて刺激が強くない様に洗いよくすすぐことが必要。

以下ふたつはガイドラインではないが私の考え。

3)下着は綿100%を選びましょう。縫い目が刺激になる場合は裏返しにしましょう。背中側のタグは取りましょう。

4)洗濯洗剤は香料、蛍光剤、柔軟仕上げ剤が入ってないものを使いましょう。


悪化因子の検索と対策    皆さん、疲れてきましたか。もう少しです!頑張りましょう!

          具体的内容と対策
非特異的刺激衣類の刺激、髪の毛の刺激、ナイロンタオル、シャンプー・リンス、石鹸のすすぎ残しなど
接触アレルギー外用剤、化粧品、香料、金属、シャンプーやリンス、消毒薬など
食物安易な除去食はするべきではない。
吸入アレルギーダニ、ほこり、花粉、ペットの毛など
有用な吸入抗原の
  特異的IgE抗体と対策            
ダニ(布団に掃除機をかける、抗ダニにシーツを使用する、ベットにぬいぐるみを置かない)花粉(外出から帰宅したら衣類の花粉を落とす、洗顔、花粉用眼鏡、マスク、抗ヒスタミン薬内服、点眼、点鼻)、動物(手放す、ペットを洗う、寝室にペットを置かない)、真菌
発汗汗は基本的には皮膚表面の感染防御に関わっているが、時間経過とともに悪化因子となる。通気性がよく吸湿性の低い肌着を着用する、汗は放置せず、シャワー浴、流水洗浄、おしぼりによる清拭、濡れた衣類を着替えるなどする。
細菌・真菌 病変部に細菌や真菌が多く検出されるが、消毒や抗菌薬の内服などは勧められない。

最後に推奨度、行きますよ!

今回は推奨度ではなく、エビデンスレベルでの評価もあります。さすがにアトピー性皮膚炎!

エビデンスレベル 
  A  結果はほぼ確実
B支持する研究報告が少ない
C結果を支持する質の高い研究がないない
推奨度
   1    強い推奨   
弱い推奨  

推奨度 evi  
ステロイド外用は勧められるか  A
皮疹が軽快後ステロイドの外用頻度を減らすのとランクを下げて連用するのはどちらがいいかC塗布頻度を減らして保湿剤に移行することが望ましい
ステロイド外用薬の眼周囲への使用は眼合併用のリスクを高めるかC B白内障B(リスクを高めない)、緑内障C(リスクを高める)
抗菌外用薬は勧められないA
5タクロリムス軟膏は勧められるかA
6タクロリムス軟膏は皮膚癌やリンパ腫の発症リスクを高めるとはいえないB
7抗ヒスタミン薬内服は勧められるかB
8再燃を繰り返すアトピー性皮膚炎の寛解維持にプロアクティブ療法は有用かA
9保湿剤外用は勧められるかA
10 シャワー浴は勧められるかB
11病勢マーカーとして血清TARC値は有用かB
12重症例にシクロスポリン内服は勧められるかA
13漢方療法は有用かB消風散、補中益気湯
14ダニ抗原除去は有用かB
15アレルゲン除去食は有用かB
16妊娠中・授乳中の食事制限は児のアトピー性皮膚炎発症予防に有用ではないA
17乳幼児アトピー性皮膚炎の症状改善にプロバイオティクスは勧められるかB
18年齢とともに寛解することが期待できるかB
19妊娠・授乳中の抗ヒスタミン薬内服は安全かB
20 妊娠・授乳中 のステロイド外用は安全かB
21石鹸を含む洗浄の使用はアトピー性皮膚炎の管理に有用かC
22乳児の湿疹に沐浴は有用かC
23ポピドンヨード液の使用は勧められるかC
24ブリーチバス療法は勧められるかB
25日焼け止めは悪化予防に勧められるかC
26ペットの飼育、動物との接触を回避する指導は発症予防、改善に有用かC

はー、疲れましたね。