円形脱毛症 円形脱毛症 ダーモスコピーでみると進行中か回復期かが分かります。
日本皮膚科学会のガイドラインから抜粋
推奨度:A:強く行うよう勧める。B:行うよう勧める。C1:行ってもよい。C2:行わない方がよい。D:行うべきではない。*:小児には原則行わない。
C2以下は省きました。このガイドラインで重要なのは、Aがない、ということ。
推奨度Bが最高であり、ステロイド局所注射、局所免疫療法、ステロイド外用の3つ。
面白いのが、かつらの使用がB,治療しないがC1だという点ですね。それだけ治りにくい病気だということです。
治療法 | 推奨度 | 当院で可能か |
ステロイド局所注射 | B* | 〇 |
局所免疫療法(SADBE) | B | 〇 |
ステロイド外用 | B | 〇 |
ステロイド内服 | C1* | 〇 |
静脈注射によるステロイドパルス療法 | C1* | × |
抗ヒスタミン薬の内服 | C1 | 〇 |
セファランチンの内服 | C1 | 〇 |
グリチロンの内服 | C1 | 〇 |
カルプロニウム塩化物(フロジン®ローション)の外用 | C1 | 〇 |
ミノキシジル外用 | C1 | 〇 |
冷却療法 | C1 | 〇 |
紫外線療法 | C1* | 〇 |
直線偏光近赤外線照照射療法 | C1 | × |
かつらの使用 | B | |
治療せずに経過観察のみ行う | C1 |
円形脱毛症には、単発型、多発型、全頭型、全身型があります。
単発型は脱毛巣が1個のみ、多発型は2個以上、全頭型は頭の髪が全部抜けてしまうタイプ、全身型は全身の毛が全部抜けてしまうタイプ。多いのは多発型の円形脱毛症。
脱毛面積が25%以上か以下か、現在進行期か進行が止まったか、年齢で、治療法が変わることが多いです。
推奨度Bのステロイド局所注射、局所免疫療法、ステロイド外用について説明しますね。
ステロイド局注は痛いので、面積が小さい場合、個数が少ない場合。15歳以下では行わない。
局所免疫療法は、SADBEという液体を脱毛部に塗って、かぶれを起こすことにより毛を生やす。
最初に1%SADBEをしみこませた絆創膏を皮膚に貼って、SADBEのアレルギーを獲得する。
この薬剤は通常の人間界では存在しない薬剤で、かつアレルギーを引き起こしやすい、かつ発癌性がない。
48時間後に自分で絆創膏をはがし、2週間後に受診する。
最低濃度の0.0001%SADBEから脱毛部位に外用をし、2週間ごとに受診をし、次第に濃度を上げていく。
わずかに痒みや赤みが出るぐらいが至適濃度となる。
濃度が決まれば、その濃度で2週間ごとに外用をする。
1%SADBEを貼った部位がすごくかぶれることがある。またアトピー性皮膚炎や、蕁麻疹の人は全身にアレルギー反応が起こることがあるのでできない。
ステロイド外用は、毎日自宅で1日2回ステロイドのローションを塗るだけです。
患者さんを診て、患者さんと相談して、患者さんとともに治療法を決定するのが一番大切だと思います。